『 また、会いにくるからね 』
その約束をしてから、あっという間に月日は経っていました。
先日、久しぶりにおばあちゃんのお家に行きました。
私のおばあちゃんの姉にあたります。
最後に会ったのはいつだろう。
それくらいずっと会えていませんでした。
『 おばあちゃーん、会いにきたよ! 』
玄関を開けると
大喜びで私を迎えてくれました。
『 よう会いにきてくれて~!嬉しいわ~!』
とてもテンションが上がっていました(笑)
何年経っても
私が何歳になっても
おばあちゃんは変わらず私のおばあちゃんで居てくれます。
ユーモアがあって、お話好きで、明るくて、優しくて、強くて。
でも、私が悪いことをするとしっかり叱ってくれる人でした。
そんなおばあちゃんは昔、
旦那さんと子供を病気でなくしました。
それからもずっと、家族で過ごした瓦屋根のお家で一人で暮らしています。
『 おばあちゃんは旦那も自分がお腹を痛めて産んだ娘もなくしてしまったけど、
ばあちゃん、ばあちゃんって言ってくれるあんた達がいるから幸せや。 』
おばあちゃんはそう私に言ってくれます。
そんなおばあちゃんはよく、私達きょうだいのお世話のため遠くからお家に来てくれていました。
小学校の帰り道
『 今日はおばあちゃんがお家に来てくれているよ。』
母からそう聞かされると、
ウキウキで走って家に入りました。
『 おばあちゃーん!!今日泊まってくの!? 』
そんな会話からいつも始まりました。
学校からの帰り道
今日は家に帰ったらおばあちゃんが居てくれてる。
そう思うとなんだか嬉しくて、早足で家に帰りました。
『 なぁおばあちゃん、うちのお家に一緒に住んだらいいのに。
そしたらさみしくないやろ? 』
まだ何も分からない私はよくおばあちゃんに言いました。
おばあちゃんは笑いながら、ありがとうと言ってくれました。
そんな大好きなおばあちゃんが居てくれる時間はとても短いもので、
おばあちゃんが帰ってしまう時、私はきまって
『 いやや!何でうちのおばあちゃんやのに、帰らなあかんの。』
そんなワガママを言いながら、
別れが寂しくて、泣きながらバイバイしていました。
そんな時、おばあちゃんはいつも
『 またすぐに会いにくるから 泣かんとき。』
と笑顔で言いました。
昔はよく会えていたおばあちゃんですが、
そんな機会は、少しずつ、すこしずつなくなっていきました。
久しぶりにおばあちゃんと過ごす中で、
そんな懐かしい思い出を思い返していました。
おばあちゃんとの時間はあっという間に過ぎて
いつの間にか帰りの時間になりました。
玄関まで着いたとき
『 また会いにくるからね。やからずっと元気でおってな 』
私が笑顔で言いました。
昔みたいに笑顔で返してくれると思っていました。
ですが、
『 いやや、いやや。 さみしい。帰らんといて。』
おばあちゃんは子供みたいに泣き出しました。
私の前で涙を見せたことがないおばあちゃんが
泣きながらそうお願いする姿に、
私もいつのまにか泣いていました。
また 会いにくるからね
そのまたが、いつになるかわからないことを
おばあちゃんは知っていたんだと思います。
子供の頃に使っていたお茶碗を
今でも大切に残してくれているのは
私がいつでも会いにこれるように
いつだって会いに行ける
そう思うから
また会いにくるからねと約束します
ですが、慌しく過ぎる毎日の中
その約束がなかなか守れないこともあります。
結婚式は、そんな泣けてしまうくらい
嬉しい再会の日です。
ずっと会えずにいた分の会話をする日です。
ずっと伝えたかった気持ちを届ける日です。
少しでも長くそんな時間をとりたいです。
一枚でも多く思い出の写真をとりたいです。
限られた時間の中で
また 会いにくるからね の約束が果たせる日にしたいですね
ラピスアジュール 馬場友里恵